なんちゃってサーファーナースのぶろぐ

サーフィン好きな男性看護師

認知症とその家族

看護師していて

とても複雑に感じた事です

 

病状悪化のため入院

治療後に軽快退院目前

認知機能低下があり

夕方になると落ち着かなくなるAさん

「家に帰らないと」

「田んぼの様子を見に帰らないと」

典型的な夕暮れ症候群

 

その日も、ガサガサしていました

10分前まで部屋にいたのに

10分後には自室不在

 

どこを探しても見つからない

時間だけが経過

もちろん家族にも連絡

警察に連絡する事を確認するが

「警察はちょっと・・・」と

病院スタッフと家族が捜索

 

病院を出て5キロぐらいのコンビニで

家族に電話をかけたAさん

ようやく居場所が見つかる

 

家族にも連絡

 

連れて帰って来たのは病院職員

無事が確認され一安心

 

帰って来たのはイイけど

Aさんは「早く帰らないと」

と、また出て行ってしまいそうな感じ

 

認知機能が低下しているぐらいで

退院間近で体力的にも万全

歩行状態良好

 

正直に言って

もう一度出て行く可能性のある

Aさんをこのままの状態で入院継続は難しい

 

ご家族に提案

「今晩だけ自宅に帰ると落ち着かれると思うので、外泊してみてはどうでしょうか?」

自宅では見れないとの返答

 

「個室をご用意致しますので、今夜だけ付き添って頂けませんか?」

家の事があるから無理

 

結果

ゴールデンウィークで家族の予定が詰まってる、病院にいる事も連れて帰る事も出来ない。だから、このまま入院させておいて欲しい」

でした

 

病院職員として

Aさんの安全を考えると

家族に付き添って頂くのが、最も良いと判断

一過性のものとして、せめて翌朝まで都合のつく時間まで付き添って欲しかった

翌日に「家族の事がありますので」

と言って帰っても、納得出来たと思います

 

この家族は

Aさんに対し

とても、悲しくなる言葉を

説得という名のもと浴びせ続けました

とても大きな声で

 

わかるんです

言うことを聞いてくれない患者さんなんて

山ほどいます

仕事と割り切って対応できる部分は

とてもあると思います

 

反対に家族ほど近い間柄になれば

イライラが口から溢れ出て来ます

 

どんなに認知症を理解しているつもりでも

100%の受容は難しいと思います

 

Aさんにとって

残りの人生は今まで頑張ってきた分の

ご褒美である余生と思います

 

少なくとも、傷付かない

AさんらしいQODを迎えて欲しい

と思うのでした