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【看護学生さん必見】CVポートの管理方法まとめ

実習中に

「CVポートがある患者さんを受け持ってもらいます」

と言われたら

その日のうちに事前学習をしないと

なんて言われるかわかったもんじゃありませんよね

それでなくても、疾患や既往歴に内服薬を調べるだけでも

その日は眠れません

そんな困った状況を少しでも

役立てて頂ければ幸いです

今は、長期の栄養投与方法だけでなく

末梢静脈確保が困難な抗がん剤投与目的で増設される

そんなケースもあるようなので

確かな情報元と教科書からまとめた分です

 

        CVポート管理

中心静脈栄養法とは、中心静脈を介して直接栄養を注入する栄養法である

在宅中心静脈栄養法home parenteral nutrition:HPN

上腸管膜動脈血栓症腸捻転、先天性小腸閉鎖症、壊死性腸炎、悪性腫瘍、クローン病潰瘍性大腸炎などで、腸管大量切除または腸管機能不全により、中心静脈栄養法以外に栄養保持が困難であるもののうち、以下に該当するもの

近年では、外来での化学療法にも使用される場合がある

①全身状態は安定しているが、長期にわたって中心静脈栄養法が必要と考えられる場合

②本人・家族が在宅中心静脈栄養法を理解し、管理できる能力があること

  • 皮下埋め込み式(ポート式)

利点

欠点

・長期の使用に適している

・入浴や水泳などに制限がない

・ヒューバー針を外せば、カテーテルが外観からわからない

・輸液を滴下しているとき以外はカテーテルが露出していないため、 

 感染を予防することができる

・ポートの中心部で穿刺しないと、皮下での輸液漏れ、ポートの損傷が生じやすい

・ヒューバー針の穿刺時に疼痛がある

【トラブル・合併症の予防と対処】

① カテーテルの抜去

カテーテルの固定を2ヶ所以上にする

・輸液ラインを衣類などにも固定する

血栓症

・発熱、閉塞部より末梢の腫脹や疼痛、チアノーゼ、浮腫、輸液の滴下不良などの兆候に注意する

・日頃からの観察を行い、異変を感じた時は医療者へ連絡する

③空気塞栓

・咳嗽、浅い呼吸、胸痛、頻脈、呼吸数増加、呼吸困難、チアノーゼなどの徴候に注意する

・輸液ラインの交換時はクランプをし、確実に接続を行う

・空気抜き機能のあるフィルターを使用する

・ルート内に空気を認めたら、輸液の注入を中止する

・空気塞栓の徴候が現れたら、下肢を挙上した左側臥位をとり、直ちに医療機関 

 に受診する。足元にクッションなどを入れたりベッドの頭側を下げるなどをし

 て、適正な姿勢を保つようにすれば良い

 ④感染症

カテーテル穿刺部の発赤、疼痛、腫脹、浸出液、発熱などの徴候に注意する

・清潔操作を確実に行う

・埋め込み式の場合は、同一部位への穿刺を繰り返さないようにし、

 ヒューバー針抜去後の入浴は控える

代謝異常

高血糖:尿量増加、動悸、全身倦怠感、口渇

低血糖:冷汗、嘔気、意識障害、不安感などの徴候に注意する

滴下速度を管理するため、輸液ポンプを活用する

カテーテル関連血流感染症( C R B S I )

C R B S I の 感染経路は、皮膚挿入部、輸液の汚染、接続部からの侵入、他の感染巣からの血行性転移があり、皮膚挿入部の経路が最も多い。T P N施行中に発熱や頻脈、悪寒戦慄、血圧低下といった全身の感染症状、カテーテル皮膚挿入部や皮下トンネル部、CVポート周囲の発赤、硬結、浸出液などの感染兆候がある場合にはCRBSIを疑う

  • ピンチオフグレードについて

・ピンチオフとは、留置したカテーテル何らかの理由により損傷することをいう 

  • 鎖骨周辺の組織の間で、圧迫されて損傷する、
  • 鎖骨下筋・肋鎖靭帯の複合体に閉鎖されたカテーテルが体動によって、牽引・圧迫されて損傷する

・体位を変えると逆血確認やフラッシュができる場合は、ピンチオフが起きている可能性が高い

カテーテル内のフラッシュ時には、注意して確認することが必要

・ピンチオフは、鎖骨下へのCVカテーテルの挿入後、5.3カ月後から60カ月後までの間に発生するといわれている

・ピンチオフにはグレードがあり、それぞれの状況により対応が異なる

 

【必要物品】

消毒セット(綿球、セッシ、消毒薬など)、シリンジ(20ml)、生理食塩液(20ml)、固定用テープ、ドレッシング材、絆創膏

ヒューバー針 ※翼に対し針が垂直で針先が曲がっている、ディスポーザブル手袋・エプロン・マスク、医療廃棄物廃棄容器

 

【準備】

①実施者の装備を整え、ヒューバー針の準備をする 

・処置の前後で手指衛生を行い、感染予防のためディスポーザブル手袋・エプロン・マスクを装着する

・輸液ボトル・ルートを作成し、すぐ接続できるようにしておく

・ヒューバー針の内部を生理食塩液で満たし、空気が全部出たことを確認後、クランプしておく

  • ポート部を露出させて、皮膚異常がないか確認する

・ポート挿入部の発赤や疼痛、腫脹、硬結、排膿の有無

 

【方法】

①ポート部の消毒を行う

・消毒綿球でポートの中心から外側に向かい円を描くように、10~13cmの範囲を消毒し、消毒液が十分乾燥するまで待つ

②ヒューバー針でポート部を穿刺す

・利き手でないほうの手でポートの位置を触診で確認する

・親指・人差し指・中指で三角形を作りポートを囲むように固定する

・ヒューバー針を持ち、利き手の親指・中指で垂直に立てたフィン状グリップを持つ               

・針先がタンクの底に当たり、コツンとした感触があるまで進める

※針の刺し方が浅いと、セプタム(針を刺す場所)から針が外れ薬液が皮下に漏出する可能性がある

③血液の逆流を確認する

・穿刺位置、カテーテルの閉塞や破損・断裂がないことを確認する

・ヒューバー針につけたクランプを開放し、シリンジでポート内の液体を吸引する

 

※製品により逆血ができない構造のものもあるため注意

・逆血確認後、10~20mlの生理食塩水で、カテーテル内に対流が起こるようゆっくり洗浄する

・パルシングフラッシュ法(押す、止める、押す、止めるという波を生じさせるような動作を続けて行う)を用いて洗浄効果を高める

※残留血液や凝固した薬剤が流れず残る可能性がある

④ヒューバー針を固定し、薬剤を注入する

⑤洗浄後クランプし、フィルムドレッシング材で穿刺部を覆う

⑥抜去予防のためルートを一度ループを作りテープ固定する

⑦ヒューバー針と点滴用ルートを接続し薬剤を注入後、点滴が滴下している事を確認する

薬剤投与中に薬剤漏出の徴候(ポート部の疼痛、腫脹、発赤、注入の抵抗、滴下不良)がみられた場合、直ちに注入を中断し適切な対応をする
患者にも上記症状を説明し、症状出現時はすぐに知らせるよう説明しておく

⑧薬剤注入後、カテーテルをロックする

・針のクランプを閉じる

・生理食塩液でカテーテル内の薬剤を洗い流す

・オープンエンドカテーテル:ヘパリン生理食塩液10mlを注入、カテーテル内に残った薬剤を洗い流し注入しながらクランプする

※出血傾向患者の場合、ヘパリン使用を医師に確認

・グローションカテーテル:生理食塩液で洗い流し、注入しながらクランプする

針の種類によっては、抜針方法が違うものもある
例:安全機能付きタイプは、フィン状グリップをカチッと折りたたんで抜く

⑨抜針し、穿刺部を保護する

・片手で患者の皮膚を押さえ、ヒューバー針を垂直に引き抜き、穿刺部に絆創膏を貼る

※斜めに引き抜いた場合、周囲の組織を損傷する可能性がある

抜針後に出血がある場合:
滅菌ガーゼで圧迫止血し、改善がない場合は医師へ報告する

CVポート留置中は合併症に注意し観察を行う